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自筆証書遺言とは?正しい書き方と作成時の注意点を解説
遺言書は、相続をめぐる争いを防ぎ、自分の意志を遺すための大切な手段です。
なかでも「自筆証書遺言」は、自分1人で作成でき、費用もかからないという手軽さから利用者が増えています。
ただし、法的なルールに沿っていなければ無効になる可能性があるため、慎重に作成する必要があります。
この記事では、自筆証書遺言の基本から、作成時の注意点を解説します。
自筆証書遺言とは
自筆証書遺言は、本人が手書きで作成する遺言書であり、最も簡単に作成できる遺言の一つです。
こではその特徴や仕組みを説明します。
自筆証書遺言の特徴とメリット
自筆証書遺言は、以下のような特徴があります。
- すべて本人が手書きで作成する
- 証人や立会人が不要
- 費用がほとんどかからない
- 自宅などで自由に書ける
このように、他人に知られずに作成できる点や費用負担が少ない点がメリットです。
ただし、その分ミスも起きやすいため注意が必要です。
法的に必要な記載事項とは
自筆証書遺言が有効になるためには、法律で決められた要件を満たしている必要があります。
主に以下の記載が求められます。
- 全文を本人が自書すること
- 日付を明記すること(年月日)
- 氏名を自書すること
- 押印を行うこと(認印でも可)
これらのいずれかが欠けていると、遺言書は無効になる可能性があります。
特に日付の記載ミスや印鑑の押し忘れが多いため注意が必要です。
法務局による保管制度の活用
2020年からは、自筆証書遺言を法務局に預けることができる制度がスタートしました。
この制度を活用することで、以下のようなメリットがあります。
- 家庭裁判所による検認手続きが不要
- 紛失や改ざんのリスクを防げる
- 相続人に確実に内容が伝わる
保管制度は、安心して遺言を残したい場合に有効な手段です。
また費用についても1件3,900円となっており、公正証書と比べると割安に対応できることもメリットです。
遺言の内容は具体的に書く
財産の分配内容があいまいだと、相続人間での解釈が分かれ、争いのもとになります。
記載時には以下のように具体的な表現を心がけます。
- 財産の種類(預金口座、不動産など)
- 分配先(〇〇銀行〇〇支店の口座を長男〇〇に相続させる 等)
- 予備的遺言(相続人が先に亡くなった場合の指定)
明確な指示があることで、スムーズな手続きとトラブル防止につながります。
専門家のチェックを活用する
自筆証書遺言は、自分で作成できる反面、ミスに気づきにくいという弱点があります。
不安がある場合は、次のような専門家の確認を受けると安心です。
- 行政書士や司法書士による文面の確認
- 弁護士による法的リスクのチェック
第三者の目を通すことで、より確実な内容で遺言を残すことが可能です。
まとめ
自筆証書遺言は、誰でも手軽に作成できる有効な手段ですが、形式や内容に不備があると無効になるリスクがあります。
作成時は手書きや押印などのルールを正確に守り、内容も具体的に記載することが大切です。
少しでも不安がある場合は、弁護士にチェックしてもらうことで、安心して遺言を残すことができます。