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特別受益とは?相続分への影響と判断基準を解説
相続では、法定相続分に基づいて財産が分配されますが、すべての相続人が常に同じ条件とは限りません。
なかには、被相続人から生前にまとまった援助や贈与を受けていた相続人もいます。
こうした財産の受け取りは「特別受益」と呼ばれ、他の相続人との公平を保つために相続分が調整されることがあります。
この記事では、特別受益の基本や判断の目安、注意点を紹介します。
特別受益とは何か
特別受益とは、被相続人から生前に特定の相続人に対して贈与された財産などを、相続分の計算時に考慮する仕組みです。
これにより、相続人間の公平を図ることができます。
特別受益が認められる条件
特別受益として認められるためには、以下の条件を満たしている必要があります。
- 被相続人が贈与または遺贈の意思を持っていたこと
- 相続人がその財産を個別に受け取っていたこと
- 通常の扶養や生活費を超える額であること
形式的な贈与契約書がなくても、当事者間で合意があり、事実として援助があったと認められれば対象となる可能性があります。
持ち戻し計算の仕組みとは
特別受益があった場合、その分を「相続財産に持ち戻す」ことで相続分を計算し直します。
具体的には、次のような計算となります。
- 相続財産+特別受益=みなし相続財産
- みなし相続財産 × 法定相続割合 - 特別受益額 = 実際の取得分
これにより、他の相続人とのバランスを調整することができます。
特別受益に関する注意点
特別受益は、相続人間の不公平感を解消する制度ですが、事実認定が難しいケースも多く、争いの火種にもなります。
ここでは注意点を整理します。
証拠の有無で結果が大きく変わる
特別受益があったとしても、それを証明する書類や証言がなければ認められない可能性があります。
必要な証拠の例は以下のとおりです。
- 送金記録や振込明細書
- 贈与契約書や念書
- 関係者の証言やメモ
証拠が不十分だと、「通常の生活費」として扱われる場合もあります。
まとめ
特別受益は、相続人の公平を守るための制度ですが、認定には事実関係や証拠が大きく影響します。
対象となる贈与や援助の範囲、被相続人の意図などが複雑に絡み合うため、相続人同士での認識にズレが生じやすい点にも注意が必要です。
不安や疑問がある場合は、弁護士などの専門家に早めに相談し、トラブルを未然に防ぐことが重要です。