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公正証書遺言の作成方法とは?手順・費用・注意点を解説
遺言書にはいくつかの種類がありますが、なかでも「公正証書遺言」は、最も法的効力が高く、信頼性のある方法です。
公証役場で公証人が作成に関与するため、形式的な不備で無効になるリスクが低く、相続開始後に家庭裁判所の検認を受ける必要もありません。
この記事では、公正証書遺言の基本的な仕組みと作成手続き、作成時の注意点までをわかりやすく紹介します。
公正証書遺言の基本と特徴
公正証書遺言は、公証人が作成し、公証役場で保管される信頼性の高い遺言です。
ここではその仕組みや要件を説明します。
公正証書遺言の仕組みとは
公正証書遺言には、以下のような特徴があります。
- 公証人が遺言者の口述内容を文書にする
- 証人2名の立会いが必要
- 作成された原本は公証役場に保管される
- 家庭裁判所の検認が不要
形式に不備が生じにくく、相続開始後も速やかに遺言の内容を実行できます。
作成に必要な書類と費用
公正証書遺言を作成するには、事前準備が必要です。
主に以下の書類を用意します。
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
- 遺言内容に関するメモまたは原案
- 財産関係資料(不動産の登記簿謄本、預金通帳の写しなど)
- 相続人の情報(戸籍謄本など)
費用は、公証人手数料規程に基づいて算出されますが、財産額や件数によって異なります。
相場は数万円から十数万円程度です。
証人の条件と選び方
証人には次のような資格制限があります。
該当する場合は証人になれません。
- 未成年者
- 推定相続人およびその配偶者・直系血族
- 公証人の事務職員や関係者
信頼できる第三者を選ぶことが重要です。
適任者が見つからない場合は、公証役場に紹介を依頼することも可能です。
作成時の注意点と実務ポイント
公正証書遺言は確実性の高い方法ですが、内容や準備が不十分だとトラブルにつながる可能性もあります。
以下に注意点をまとめます。
遺言内容は明確に記載する
遺言の内容があいまいだと、相続人同士での解釈が異なり争いになることもあります。
作成時には以下のような点を意識しましょう。
- 財産の内容と所在を具体的に書く(例:〇〇銀行△△支店の預金)
- 受遺者の氏名や関係性を明記する
- 複数の相続人がいる場合は割合や理由を説明する
公証人と相談しながら内容を固めることで、誤解を防ぐことができます。
証人の資格とマナーに注意
証人には資格のほか、守秘義務や第三者性も求められます。
次のような点にも気を配りましょう。
- 遺言の内容を口外しない
- 遺言者の意思を尊重し、無理な干渉をしない
- 作成当日は身分証を持参し、時間に余裕をもって対応する
形式は整っていても、証人に問題があると無効となる場合があります。
専門家のアドバイスを活用する
公正証書遺言の作成は、本人だけでも可能ですが、専門家のサポートがあるとより安心です。
以下のような場面では特に有効です。
- 相続人間にトラブルの可能性があるとき
- 不動産や法人株など、複雑な財産が含まれる場合
- 遺言執行人の指定や付言事項の記載を検討する場合
まとめ
公正証書遺言は、公証人が関与することで形式上のミスが起こりにくく、法的な信頼性が高い遺言書です。
証人の条件や必要書類など、事前に準備すべき点は多いものの、その分完成後の安心感は大きなものです。
不安や不明点がある場合は、弁護士などの専門家に相談し、納得のいく形で遺言を残すことが大切です。