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相続財産の調査方法とは?ポイントや注意点をわかりやすく解説
相続が発生すると、どのような財産があるのかを正確に把握する必要があります。
現金や不動産をはじめ、借金などの負債も相続の対象となるため入念に調べる必要があります。
見落としがあると、遺産分割が円滑に進まないリスクもあります。
この記事では、相続財産の調査方法について解説します。
相続財産の調査方法とは
相続財産の調査では、財産の種類ごとに確認すべき情報や手順があります。
ここでは代表的な3つの調査対象を紹介します。
通帳・証券・保険の確認
まずは、被相続人の財産内容を知る手がかりとして、金融関連の資料を確認します。
主に以下のものを探します。
- 通帳やキャッシュカード
- 証券会社や銀行からの郵便物
- 保険証券や保険契約書類
これらをもとに、預貯金や株式、死亡保険金の有無と内容を把握します。
ただし、死亡保険金は遺産分割の対象に含まれません。
不動産の登記簿を確認
不動産の所有がある場合は、登記簿謄本を取得し、名義や面積、評価額を確認します。
調査の際に手がかりとなる資料は次のとおりです。
- 法務局で取得できる登記事項証明書
- 固定資産税の納税通知書
- 不動産会社との取引記録や契約書
これらの情報により、不動産の所在や権利関係、評価額などを把握できます。
相続税申告や登記変更にも必要な情報です。
借金や連帯保証も調査対象
相続対象には、資産だけでなく負債も含まれます。
見落としがちな負債の調査では、次のような資料を確認します。
- 消費者金融やクレジット会社からの請求書
- 銀行ローンやカードローンの明細書
- 連帯保証契約書などの契約関連書類
また、法定相続人であれば、JICCやCICなどの信用情報機関に対して情報開示請求ができます。
相続財産調査の注意点
調査を進めるうえでは、思わぬ落とし穴や見落としによるトラブルが生じる可能性もあります。
ここでは注意すべき点を整理します。
調査漏れは相続トラブルの原因
調査が不十分なまま遺産分割を進めると、後になって新たな資産や負債が判明することがあります。
再度の分割協議が必要になるだけでなく、相続人同士の対立を招く要因にもなります。
郵便物や引き出しの中身なども丁寧に確認し、あらゆる手がかりを探すことが大切です。
期限や手続きに注意が必要
相続放棄の申述は、相続開始を知った日から原則3か月以内に行う必要があります。
この期限を過ぎると放棄が認められなくなることもあります。
判断材料として財産調査は欠かせないため、次のような対策も検討しておくと安心です。
- 期限内に家庭裁判所へ「熟慮期間の伸長」を申し立てる
- わからない財産が多い場合は専門家へ相談する
- 書類の整理を早期に開始する
迅速な対応が、後のリスク回避につながります。
まとめ
相続財産の調査は、スムーズな遺産分割や放棄判断の基礎となる大切な工程です。
金融資産、不動産、借金など多岐にわたる内容を丁寧に確認することが求められます。
調査漏れは将来的なトラブルのもとになるため、不安がある場合は弁護士などの専門家へ相談することをおすすめします。